東金クラスの「七夕まつり」

「晴れましたね~」梅雨時の決まり文句と心得、気軽に使ってしまう今日この頃です。困ったものだと含みを持たせるせいか、笑顔がやや曇ります。今日は7月3日木曜日。晴れてはいますが不安定な空模様はメルヘンの悩みの一つです。外遊びに決め、荷物を運ぶメルヘン先生。「ホーホケキョ(ようこそ)」と言わんばかりに、森から小鳥の心地よいさえずりが出迎えます。しばらく聞き入ってしまいます。ホーホケキョ!これ、ウグイスの縄張り宣言だそうで、「ケキョケキョ」と変わると侵入者への威嚇だとか・・・

この素晴らしい環境で活動するのは、お馴染み伊藤みよこ先生の「東金クラス」です。千葉県立東金青年の家は、青少年の野外活動や集団活動をサポートするためのもので、メルヘンも十数年使わせて頂いています。みなさん親切な方ばかりで、本当に感謝感謝です。荷を降ろして、早速トトロ段ボールの準備に取り掛かる先生。気が付くと、遠くの方に一組の親子が見えました。「おはよー!」元気な先生のひと声がグランドを突き抜けるとウグイスが鳴き止みました。先生の縄張り宣言が勝った様です。駆け寄った子と笑顔で話すと、ママとの会話も弾みます。

参加シールを済ませ、かわいい短冊をもらったお友達が、傍の笹飾りに気付きました。水満タンのペットボトル3本をヒモで縛り、真ん中に立派な笹が差してあります。そう今日のテーマは「七夕」です。ママと一緒にお願い事を書いて笹に飾ります。ここでおやっ!すぐ隣の洗面器に何か虫が入っています。網で厳重に蓋をして、オガ屑の様なものがいっぱい入っています。中で何かがゴソゴソっと動きました。良く見ると・・・「カブトムシ」です。大きな角をもったオスと丸いメスが、たくさんいます。ノソッ、ノソッと威厳のある動きがカッケーですね。

おはよ~、次のお友達が遠~くに現れました。実はこの広場、野球のグランドなので半端な広さではありません。駆け寄ってくるお友達も散歩気分のママも、先生のいる木陰まで来る間にゆっくり景色が楽しめる程広いのです。集まったお友達とママたちは、やはりカブトムシに気付きます。普段見慣れないカブトムシを目の当たりにして、子どもたちはみな洗面器を覗き込み、しばらくフリーズしてしまいます。間をおいてやっと出た言葉は「おっきいよ」「おっきいよ」、何度も繰り返しママに話しかけます。少し怖いのかな??

っと、ここで雨がポロリと落ちました。来るかな??空を見上げながら先生が不安気な顔つきになります。「中にゆきましょうか」そう言った先生、一目散に事務所向かって走り始めました。大移動の始まりです。ママも子どもたちも、申し合わせたかの様に荷物を分けて運び始めます。電光石火で戻った先生が「上の和室です」とアナウンスします。決まりです。この施設はこんな時、本当に助かります。研修棟の1Fにはたくさん部屋があり、緊急時でも空いていれば室内に移してもらえます。みんなのラッキーも手伝って、無事大移動が終了しました。ッホ!

20畳ほどの和室に入ると早速ファンファンが鳴り始めました。曲に合わせて、一緒に歌いながら、会話も続けながら、人数の少ない東金クラスならではのアットホームな光景です。輪になってご挨拶を済ませ、元気にお返事もしました。ポンポンが配られるとハム太郎の始まりです。ダンス大好き!と言わんばかりにポンポンをフリフリフリ回します。本当に元気なクラスです。この後、先生特製のスイッチが出てきました。カラフルな腕輪の様なスイッチがいっぱいあって、今日はどんな色が好き?って迷いながら選びます。この時間が結構楽しそうです。ケーキ屋さんでショーケースを眺めている気分かな。お気に入りが決まると、曲が始まりました。「かいじゅう、おっす」です。曲に合わせてスイッチをおっす!訳です。リズムに合わせてみんな上手にオッスしてました。途中、追いかけっこになる箇所があるのですが、ギヤチェンジでもしたかの様に激しく逃げ回り、ちゃんと「追いかけっこ」になっていました。

ここで後先生が取り出したのは、先のトトロの段ボール箱とお野菜です。さつま芋、ジャガイモ、トマト、長ネギ、ニンジン、大根、レモンと、まるで本物そっくりの出来栄えです。おいしそうなお野菜を全身で抱えて、トトロに向かいます。小さな子の頭がスッポリ入りそうなトトロの大きな口に、大根とジャガイモをまとめて入れたり、さつま芋をまとめて数本入れたり、さすがのトトロも、目が点になっていました。トトロが姿を消すと、今度はカードが沢山でてきました。ゾウ、キリン、うさぎ、セミにかめ、スイカやリンゴもあります。2カ所に分けてばら撒くと先生が説明を始めます。こっちのコーナーでとったカードと同じ絵をあっちのコーナーから探しま~す。で、早速スタートです。

見つけたカードを先ずママに見せて確認するしっかり者。似た絵なら「っま、いいか!」と先生に届けるひょうきん者。終盤、絵が減ると競争心に火が付いた様で取り合いが激しくなります。結局最後の1セットはママの仲裁で、二人一緒に先生に届ける事になりました。[二分の一]に優しさを加えて[半分こ]、ママの優しさが伝わります。さて、ここで雰囲気を変えて絵本の時間です。お題は「たまごのあかちゃん」。丸い卵から隠れていた赤ちゃんが出てきます。かめさん、へびさんと次々に現れ、大きな卵からはとうとう恐竜が生まれます。みんな生まれてハッピーエンドでした。メルヘンに合うシンプルな絵本は進行次第でイメージが広がり、子どもの想像力を爆発させますね。大人になっても、こんな絵本が描けたり読めたりすると本当に楽しいですね。

そしていよいよ手作りおもちゃの時間です。新聞紙を丸めてホイルできれいに飾り、尻尾も付けて流れ星を作ります。比較的簡単に作れ、子どもたちがママと一緒に作るにはうってつけの課題です。みんなが作っている間に、先生はキラキラお星さまがいっぱい付いた大きなネットを準備しました。障子を開けて、洗濯ばさみで留め、夜空の様なネットが完成しました。子どもたちはできたての流れ星をエイっとばかりに投げます。尻尾がヒラヒラ、流れ星らしく飛んでゆきます。ネットを超えると拍手喝采。ネットの向こうからは、先生が回収した流れ星を投げ返してくれます。顔の半分ほどの大きさの流れ星を投げるのですから、子どもにとっては一大事です。全部とはゆきませんが、半分はちゃんとネットを超えます。その度に起こる拍手喝采が気分を盛り上げていました。

さて、これで今日も終了か?と思いきや、先生が例の洗面器を持ち出しました。カブトムシのプレゼントです。スーパーの透明パックにオス・メスをセットにして取り分け、みんなに配ってくれました。カブちゃんを手掴みする伊藤先生。手の平に置いてみたり、指から引き離してみたり、結構大胆なのです。虫が苦手なママもいて、本当に怖そうに身を強張らせる様子が対照的で大笑いの連続でした。そして、アンパンマンてお別れでした。久しぶりにお会いできた「カブトムシ君」またお会いできるといいですね?、、、、、じゃなくて、東金のみなさん、今日は本当にありがとうございました。良く食べてよく寝て、元気に夏を迎えてください。また来ま~す。(事務局KI)