おイモ掘りだよ~(東金・成東クラス合同)

11月21日(木曜日)。快晴に近い青空と澄んだ空気。絵に描いたような一日の始まりです。前日仕込んだ撮影機材を改めて確認し、ヒートテックを着込んで颯爽と出発します。向かうは、「東金青年の家」。待ちに待った「芋ほり遠足」の日です。東金青年の家は、ご存じの通り、いつもメルヘンの東金クラスが使わせて頂いている野外活動普及のための千葉県立の施設です。各種のスポーツ施設、宿泊施設、キャンプ場に飯盒炊爨の施設、そしてそこで使用する殆どの道具類まで揃った広大な施設です。が、農園まであるとは知りませんでした。契約農園らしいのですが、この時期には「お芋堀」が体験できるのです。翌週に控えた「焼き芋大会」には少々未練がありますが、以前から「お芋ほり」も取材したいと考えていたものですから、今日のお天気は本当に嬉しい限りです。

さて、成東クラスの岡崎先生にJR求名駅(ぐみょう)まで迎えにきて頂き、青年の家に到着すると、先ず目に入るのが正面玄関脇の赤い大きなバスです。ここが定位置で、いつも停まっているのですが、今日は一段と立派に見えます。それもその筈、今日はこのバスに乗るのです。これも施設のバスでボディーには「宝くじ号」と書かれており、文字通り寄贈されたバスだそうです。貸し切りバスでの遠足というのも久しぶりの事で、幾つになってもワクワクします。

東金クラスの伊藤先生が到着され、成東クラスの岡崎先生と打ち合わせを進める間にも、数台の車が駐車場に入ってきました。中から元気なお友達とママが現れ、いきなりテンションが上がります。また数台、また数台と現れ、あっという間に野良仕事集団が出来上がりました。そうです、みなさん芋ほり用の衣装で気合が入っているのです。澄んだ青空とは似つかわしくない長靴にセーターを着込んだジャンパー、大きなリュックとタオルといった「やる気衣装」での登場です。ママも子どもたちもきっと私と同じ気持ちなのでしょうね。

集まったお友達やママたちがワイワイやっていると突然、背後からドドドン!ドドドン!と地響きを伴った重低音が迫ってきました。う!驚いて中庭を振り返ると、何と5人のカッケーご婦人が息の合った見事な動きで「和太鼓」を演奏し始めていました。「お~」思わず声が出てしまい、カメラも自然とそちらに向きます。偶然ですが、今日がチームの練習日だそうで、居合わせたメルヘンがラッキーな観客に選ばれたと言う訳です。子どもたちも興味津々で、気が付くとほぼメルヘン全員が集まっていました。地元の貴重な文化遺産に偶然触れるという、想定外のアトラクションに、大きな拍手が長々と続いていました。

そろそろメルヘンも出発の時刻です。先生の誘導で子どもたちがバスに乗り込みます。ママに手を引いてもらったり、抱っこされたり。子どもの目線からすると、バスのステップはまだまだ高い様ですね。これも遊びにしてしまう子どもたち。レッツゴー!笑顔と歓声が続きます。みんなが乗り込むと運転手さんから注意と案内があり、早速出発です。「おおがたバス~にのってます!」文字通り、ママより大きな本物の大型バスです。るんるん!しばらく経って、伊藤先生が何やら話し始めました。変わった手袋をはめて、「今日はお芋堀りにきました。」と語り始めます。小鳥さん、ヘビさん、ゾウさんがお芋堀りにくるお話です。「うんとこ、おいも、どっこいしょ」掛け声に合わせて手袋の人差し指に描いたお芋を引っ張ります。順々に引っ張り最後は大きなお芋さんが引っこ抜けるというお話し。ビニールの手袋に絵を描き、それを何枚も重ねて作ってあります。考えましたね~、新手の「手袋シアター」といったところですね。

農園は、青年の家からひとつ向こうの山にあります。バスで10分ほどの所ですが、お話が終わる頃にはもう農園のすぐ近くまで来ていました。到着すると、まずお手洗いの場所が知らされました。初めての会員さんもいらっしゃるので迷わない様にとの配慮です。知っているだけでも随分安心ですからね。そして、いよいよ畑に向かいます。道具小屋をすり抜けると、目の前にズラリと畝が並んだ畑が目に入ります。きれいに整理されており、4畝程に葉っぱがたくさん群がっています。ここがメルヘンの収穫エリアである事はすぐに判りました。

説明の後、早速お芋堀りが始まります。待ちかねたのか一斉に畑に向かうとママと子どもたちがそれぞれに場所決めしゃがみ込みます。葉っぱの付け根を探し土を掘り起こすと、だんだんツルが見えてきます。それをつたって掘り進むと、あった~!ズルズル??小っちゃいね、、、また近くを掘ってズルズルっと引っ張ると、今度はおっき~い!結構深くにあるもので、意外に苦戦が続きます。こっちは?あっちは?子どもたちもおもちゃのスコップとちっちゃな手で土を掘りおこします。親指大の小さなものからパパの靴ほどありそうな大きなものまであります。色の違うお芋もあり、聞くと種類が違うとの事。勿論味も違うのでしょうね。慣れるに連れお芋さんとも気持ちが通じる様になります。太い弦を見つけて引っ張ると、これは結構長い!そして、その先には立派なお芋がなっていました。感動です。

中には「おしり」と命名された、そっくりのお芋もありました。これは大うけでした。子どもたちは「おしり」が好きですね。気が付くと畑から葉っぱの姿がすっかり消え、土がひっそりとし始めました。それでもまだあるかもと、掘り進めるママもいて、子どもたちも手伝っていました。収穫されたお芋は先生の手元に集められます。サイズ別に整理し、会員の人数で均等割りにします。各自スーパーの袋いっぱいのお芋をもらってご満悦の表情でした。

一息入れて、畑をバックに記念撮影もしました。さあ、今日の野良仕事はここまで。帰りのバスはお芋の話でもちきりでした。青年の家に戻り、お別れのご挨拶の後、次週の「焼き芋大会」の説明がありました。そうそう、青年の家のお兄さんのお話にありましたが、お芋は収穫後2週間くらい干すと美味しくなるそうです。「一度試してみて下さい。」と仰っていましたが、なかなか取れたてのお芋は手に入るものではありません。その意味でも貴重な収穫でしたね。

今はスーパーで何でも手に入る時代ですが、自然の中で土に塗れて汗を流すのは大切な事ですね。目先の進化で忘れられがちな自然の恵みや命の偉大さを感じる意味でも、幼少期からこんな体験を積み上げるのは素晴らしい事ではないでしょうか。本当にありがとうございました。関係者の方々が長い時間をかけてお世話をされ、育ったお芋をゴッソリ頂くという感謝感謝のイベントでした。そして、この貴重な体験が確かな記憶として残った証が、あの子どもたちの笑顔ではなかったかと感じました。「お芋さん、残さずいただきます。食べ物を粗末にはしません。」東金青年の家の皆さん、先生方、お母さま方、そして子供たち、ありがとうございました。大切な事を勉強させて頂きました。またよろしくお願い致します。(事務局KI)