相談内容

しつけをするためには、叩いた方がいいのでしょうか。

分類
しつけ
年齢
2歳~3歳 

もうすぐ3歳になる娘がいます。その娘のしつけについて、母との意見が合いません。母は昔の人ですから、悪いことをしたら叩いてもいいと思っていますが、私は絶対に叩きたくないと思っています。娘は食事の時もあまり落ち着いていないので、立ち上がったり、手で食べ物をつかもうとするのですが、母が一緒にいると、母は娘のお尻や手を叩くことがあります。そんなに強くではないのですが、やめてほしいと思っています。でも、そのことで少し落ち着いてきたかもしれません。しつけをするのに、叩くことをしたほうがいいのでしょうか。

2013-07-15 掲載

先生からのコメント

最近のバラエティーで大人気の細木数子。先日のテレビでこんなことを言っていました。「今の子は叩かれないから痛みを知らない。だから平気で人を殺すんだ。痛みを教えるのは親の役目。悪いことには痛みをもって教えていくことも必要なんだ」。この細木数子の論調は確かに極端かもしれませんが、頭ごなしに否定することもできないように思えます。
叩かれると痛いということは、経験しないとわかりようがありません。子どもの頃お友達同士での取っ組み合いのケンカも、殴られたり蹴られたりすることが身体の痛みを伴うことを覚えるチャンスでもあります。親からほっぺたやお尻を叩かれることも同じです。こういった経験を通して、力の加減を覚えていくのですし、人の痛みもわかるようになる。このことは否定できないように思えます。
ただ、それを全面的に賛成できるかと言えば、決してそんなことはありません。私もよく母から叩かれました。布団たたきでお尻を叩かれたことは、今でもよく覚えています(笑)。母は、叩く時でも力の加減をしていましたし、必ず1回きりで終わりました。何度も何度も叩くなんてことは決してありませんでした。つまり、感情的ではなかったということです。だからこそ、今こうして思い出話として話せるのでしょう。実際に叩かれた覚えがあるのは、小学校に上がってからの話です。少なくとも私の記憶では、幼稚園の頃に叩かれた覚えはありません。Nさんの娘さんはまだ3歳。今の時点では絶対に叩くことはやめたほうがいい、と思います。
人には心の痛みというものがあります。いつもは優しいお母さんが、怒って口もきいてくれない。口調も厳しい。そういった胸が締め付けられる思い。それだけでも、十分な痛みが伴うのではないでしょうか。それは、普段からの接し方が大きく左右します。普段から口調がきつかったりすれば、いざという時の効き目がなくなってしまいます。しつけというのは、「生きる力」を身につけさせる営みです。いざという時のしつけが一番大事です。子どもの命に関わるようなことがあれば、親は全身全霊を持ってしつけていくべきだと思います。
食事場面でのしつけを巡る、Nさんのお母さんとの意見の食い違いは、ご主人も交えてよく話し合ってください。身近の大人の対応が違うと、混乱を招くのは子どもだということをお忘れなく。