相談内容
義母に「そろそろちゃんとしつけていかないとね。」と言われました。
- 分類
- しつけ
- 年齢
- 1歳
3月に1歳になる男の子がいます。つい先日、義母が来た時に、「そろそろちゃんとしつけていかないとね。」と言われました。あまりに唐突だったこともあって、「そうですね。」と返事をしただけで、何をどうすればいいのかよくわかりませんでした。ちょうど昼ごはんの時に言われたので、スプーンやフォークをちゃんと使えるようにするとか、こぼさないで食べるようにするという意味だったと思います。1歳の子どもにどうやってしつけをすればいいのでしょうか?(S.T.)
先生からのコメント
子どもは、大人が教えなくても、大人の真似をすることで、色々なスキルを身につけていきます。STさんの話にあった食事場面でも、大人がきちんとした事をしていれば、子どもは自然とその姿を自分のものにしていくものです。と言っても、まだまだ数年も後のことになりますが(笑)。
私たちは普段、しつけをするという言葉を、大人が子どもにマナーや道徳を教えることとして解釈しています。広辞苑によると、「礼儀作法を身につけさせること。」とあります。これを漢字で書くと「躾」です。この漢字は「身」+「美」で、漢和辞典には「身の立ち居振る舞いを美しくする意。」と書いてあります。なぜ礼儀作法が必要なのか、なぜ立ち居振る舞いが美しくある必要があるのか。この答えは簡単ではありません。しかし、そういったことがある程度身についているほうが、人間社会を生きやすくなるのは確かです。
さて、広辞苑を見ると「躾」という文字には違った意味もあります。「縫い目を正しく整えるために仮にざっと縫いつけておくこと。」と書いてあります。いわゆる躾糸(仕付糸)は、そこで使う糸のことを言うわけです。私は、ここで大事なのは「仮にざっと縫いつけておく」ことだと思います。親の躾の役目は仮縫いを済ませれば終わりと言ってもいいでしょう。それをいかに仕上げていくかは、子どもが生きていく中で、自分自身で縫い上げていかなければなりません。ですからこの仮縫いが弱ければ、すぐにほつれてしまい、子どもが仕上げることはできません。逆に仮縫いが強すぎる場合でも、今度はガッチリと縫い付けられてしまっていて、やはり子ども自身が仕上げる余裕がなくなってしまいます。私が先ほど「ある程度身についているほうが」と書いたのも、このような理由からです。ゆる過ぎず・きつ過ぎずの「良い加減」の仮縫いが、躾の本質だと思います。
では、良い加減の仮縫いはどうすればいいのでしょうか。「しつけなければいけない」という思い込みから逃れ、子どもと一緒に感動することです。子どもがご飯を上手に食べるようになった時や上手におしっこを出来るようになった時など、子ども自身が満足感で満たされる瞬間をお母さんも一緒になって喜び合う。これが「良い加減の躾」に繋がっていくと思います。