相談内容

幼稚園でお話をしなくなりました。

分類
言葉
年齢
4歳~5歳 

今年から幼稚園に通い始めた長女ですが、夏休みが終わってから幼稚園でお話をしなくなりました。幼稚園の先生によると、「場面かんもく」という症状だということですが、「焦らなくてもすぐに元に戻りますよ」と言われました。「かんもく」について調べましたが、家では普通どおりにお話をしているので間違いないと思います。夏休み前には普通だったので、原因が全然わかりません。幼稚園の先生の言うとおり、そのままにしておいていいのでしょうか。(K)

2007-07-15 掲載

先生からのコメント

「場面緘黙(ばめんかんもく)」とは、家の中では普通にお話したり騒いだりする子どもが、幼稚園や保育園などの集団場面になると全く口を聞かなくなることを言います。いわゆる「言葉の遅れ」は、この緘黙には当てはまりません。また、幼稚園などの特定の場所で口をきかない状態が、少なくとも数ヶ月以上にわたって持続することが特徴です。つまり、初めて行った場所や、初めて会う人の前などで押し黙ってしまうのは緘黙には当たりません。
さて、Kさんの娘さんは、夏休み明けの新学期から、幼稚園で話をしなくなったということですね。4月に入園したての頃の新しい環境は、誰でもがすぐになれるものではありません。おそらく娘さんは、新しい環境に慣れようと一生懸命頑張って、夏休みを迎えたのではないでしょうか。娘さんにとっての幼稚園は、良い意味でも悪い意味でも緊張感の高い場所だったはずです。夏休みになったことで、その緊張感から解放されたことで、本来の姿を取り戻したとも言えるのではないでしょうか。それでなくても夏休み明けは、どの子どもたちにとってもペースを取り戻すのが一苦労。私たち大人が休暇の後に「会社に行きたくない」と思うのと同じです。
今は11月となり、夏休みが明けてから日が経っていますね。その後いかがでしょうか。今でも続いているとすれば、Kさんがおっしゃるように緘黙になるかもしれません。
ただ、場面緘黙は特別な病気というわけでもありませんし、緘黙というような症状名にとらわれるのではなく、幼稚園で口を利かないことがお子さんにとってどういう意味があるのか考えてみてほしいと思います。
たとえば、口を利かないことによって自分を相手に見せないという機能が働くことになります。また、口を利かないことを心配する大人からの関心を自分に引き止めておくことができます。
反対に、お友達の中に入っていきたくても、口を利かなければ余計に入っていくことはできません。子どもにとって口を利かないということは、子どもの側から見たメリット・デメリットが存在するわけです。ですから、こうした子どもの心を汲み取りながら寄り添っていくことが必要となります。
そこで大事になってくるのが、子どもへの関わり方です。まず、話すことを強要しないで普通に話しかけながら接することです。これが一番大事な基本です。「おうちではお話できるのに、どうして幼稚園ではお話しないの」などのような質問は決してしないようにしてください。
(2005.12)